
・おすすめの自己啓発本を知りたい。
・『嫌われる勇気』ってどんな本なの?
こんにちは、CenotenBlogです。
この記事では、上記の悩みにお答えします。
- 本記事の内容
- 感想、概要
- トラウマは存在しない
- なぜ「人は変われる」なのか
今回は、世界的にも大ヒットした名著『嫌われる勇気』を読んだ感想と、本書の入り口である第1夜をまとめることで、アドラー心理学の一部を知ってもらえる様になってます。
本題に入る前に、まずは『嫌われる勇気』を読んだ感想と概要、あらすじを簡単にまとめたいと思います。
感想・概要・あらずじ
感想
『嫌われる勇気』というタイトルから「自ら進んで嫌われよう!」「嫌われても気にするな!」などと、周りを気にしないスキルやテクニックを大切にし、個性を強く主張する個性主義的な本だろうと勝手な想像をしていました。
しかし、アドラー心理学の思想は個性主義を主張するのではなく、幸せを手にする為の“勇気”の思想でした。これは「嫌われる勇気」だけではなく、「人が変わるための勇気」について書かれた本だという事がわかりました。
概要
嫌われる勇気は、国内累計200万部、世界累計485万部の大ヒットを記録しています。続編の『幸せになる勇気』との合計部数は世界で600万部を突破しているそうです。
実は著者は日本人です。この様な心理学系の本は、元々の心理学者が外国人であることが多い為、海外の著者が書いた本だと勝手に思っていました。しかし、著者は日本人であり、その原本の翻訳本が世界で485万部も大ヒットしています。485万部という数字から、いかにこの本が現代の人の心に刺さっているかが伝わります。
あらすじ
この本では、「世界は矛盾に満ちた混沌である」「誰もが幸福になれるわけではない」「人は変われない」と主張する青年と、古都に住む哲人の二人の対話が書かれています。これによって読者が理解をしやすい様な工夫がされています。
青年と哲人の主張は以下の3つです。
青年 | 哲人 |
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哲人の理想論の様に聞こえる主張に反発する青年との対話を通して、アドラー心理学とは一体どの様な考え方なのかを理解することができます。
さて、ここからが本題です。
この記事では哲人の主張の1つである、なぜ「人は変われる」なのかという点に焦点を当てて、本書の内容と私の例を踏まえながら、アドラー心理学の一部を紹介します。
トラウマは存在しない
まず、なぜ「人が変われる」なのかを理解する前提として、アドラー心理学での考え方を知る必要があります。その考え方として衝撃的だったものが、本書を読み進めて早速登場します。
始めは何を言っているのかさっぱりわかりませんでした。
僕自身、トラウマの存在を信じていましたし、思い出したくもない、辛い過去の出来事があります。
そのトラウマが今現在の状況や結果、さらにはこれからの人生に多少なりとも影響を及ぼしている、と考えていました。
僕の様にトラウマを肯定する考え方をより一般的な言葉で言い換えます。
僕たちの人生を1つの「物語」として考えたときに、過去は紛れもない事実であり「経験」で、その過去の「経験」が今後の人生に影響を与える、と考える事です。
この代表的な例がトラウマなのです。
具体的な例をあげると、「僕の内向的な性格は、過去の対人関係によるトラウマが原因であり、今後の人生はこのトラウマや様々な経験が複雑に絡み合い、将来の結果を決定する」と考えることです。
しかし、アドラー心理学では、「それら全ての経験は、現在や将来の結果とは無関係である」と考えます。
「過去が現在を規定する、原因が結果を支配する」という、トラウマの存在を肯定する考え方は「原因論」と呼ばれます。
一方、アドラー心理学では、過去の「原因」ではなく、今の「目的」を考えます。この考え方を「目的論」と呼びます。
トラウマを否定する目的論とは
では一体、目的論とはどの様な考え方なのでしょうか。
目的論で先ほどの内向的な性格を例に具体的に考えてみます。
目的論では、私には無意識の内に「対人関係を避ける」という目的があり、その目的を達成する為に、過去の対人関係のトラブルを「道具」として利用していた、と考えます。
僕にとってこの考え方は、非常に厳しいものとなりました。
僕は「対人関係に関して、強く変わりたい」と思う一方で、無意識の内に「対人関係を避ける」という目的があったのです。
この考え方を「人は変われる」という考えに繋げるために、より抽象化します。
その際に、哲学者は『問題は「なにがあったか」ではなく「どう解釈したか」である』と言います。
過去の持つ意味は変えられる
哲学者の言葉の「どう解釈したか」を理解するために、本書に登場する井戸の水の例を引用させてもらいます。
しかし、井戸の水を汲む人にとって、夏ならば冷たく、冬ならば緩く感じます。」
哲学者は、「過去とはこの様に、受け手の考え方(解釈し仕方)次第で、過去の持つ意味を選ぶ事ができる」と言うのです。
例えば、先ほどの内向的な性格の例で解釈を変えて考えてみます。
そうなれば、僕は過去の対人関係のトラブルから、「教訓を学べた」「同じ過ちを繰り返さない様にできる」などの、ポジティブな感情を抱く事ができます。
そして、この経験があることによって目的の「より良い対人関係を築くこと」により一層努力する事ができます。
この様に、過去の解釈が変わることで、目的に応じた過去の意味を変化させる事ができます。
つまり、過去を主観視した際に、「辛い経験だった」と思うか、「良い経験だった」と思うかは、その人次第であり、目的によって選択可能だという事です。
アドラーはこの「目的論」について、この様に述べています。
アドラーの目的論で考えると、僕たちの過去は、それ自体では成功や失敗の原因ではなく、過去にどのような意味を与えるかによって、自らの人生を選択可能であるとなります。
一方で、変えることのできない過去の原因に囚われ、過去が全てを決定すると考える「原因論」では、今日を生きる意味を見出せず、不幸になるばかりです。
なぜ「人は変われる」なのか
これで、哲人の「人は変われる」という主張を理解する為の、前提の考え方がわかったと思います。
ではなぜ「人は変われる」なのでしょうか。
先ほどの例では、過去の意味付けを自分で選択することによって、自分の人生を決定できる様になりました。
しかし、それでもなお、人は変わりたいと強く願っても、変われない場合がほとんどです。人は、その様な状況では、今の仕事が忙しくてそんな余裕がない、元々の家庭環境が良くないなど、現在の状況や世界の不平等性など、様々な原因をあげます。
そして、「もし忙しくなければ、人と真剣に交友する事ができる」、「もし優れた家庭環境で育っていたら、意地の悪い性格にならなかった」など、「もしもの世界」を想像します。
哲人はこれに対して、「あなたが変われないでいるのは、自らに対して「変わらない」という決心を下しているから」と言います。
あなたが不幸なのは「不幸であること」を選んだから
哲人は、いつまでも変われないと言う青年に対して、このような発言をします。
つまり、いつまでも変わらない人は、どこかで変わらないことを望んでいるのです。
これを「目的論」で考えると、「変わらない」という目的があり、その目的を叶える手段として様々な原因を作り出しているということです。
ではなぜか。哲人は、『心のどこかで、「変わらない」であることの方が楽であり、安心できると思っているからだ』、と言います
もし自分が変わってしまうと、今後なにが起こるのかもわからないし、新しい課題にどう対処すれば良いのかもわかりません。つまり将来への不安が高まるのです。もしかしたら、今より辛く苦しい人生が待っているかもしれません。
この様に、人は「このままのわたし」でいることの方が楽であり、安心できるのです。そして、「もしもの世界」に生きるのです。
もしもの世界では傷つくことはもちろんありません。さらには、自分は「やればできる」という可能性を残しておく事ができるのです。「人と関わる事でまたトラブルを抱えるのは嫌だ」、「もしも意地悪な性格でなければ、多くの友人に恵まれている」など、傷つくことに逃げ、可能性の中に生きてしまうのです。
ではどうしたら良いのか。
哲学者は、“勇気”の問題だと言います。
勇気の心理学
つまり、あなたが変われないのは「幸せになる勇気」が足りないからだ、と哲学者は言います。
アドラーの目的論では、過去は将来の結果とは何ら影響しないと考えます。
つまり「これまでの人生になにがあったとしても、今後の人生をどう生きるかについてはなんの影響もない」ということです。
つまり自分の人生を決めるのは、「いま、ここ」に生きるあなたなのだ、と。
人が変わろうとする時には大きな“勇気”が試されます。変わる事で生まれる「不安」と、変わらない事で生まれる「不満」、どちらを選ぶかはあなた次第なのです。
最後に
以上で、『嫌われる勇気』を読んで理解したアドラー心理学の一部の紹介になります。
これまでの内容は5つの章からなる本書のうち、たった1つをまとめたものです。
残りの4章分を読み進めることで、残された哲人の主張である、なぜ「世界、人生はシンプル」なのか、なぜ「誰もが幸福になれる」のか理解する事ができます。
最後まで本記事を読んでいただき、ありがとうございます。
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