・われはロボットのあらすじ
・われはロボットの感想
読者の中には、2004年に公開された、ウィル・スミス主演の「アイ,ロボット」を見て本作を知った人もいるかもしれません。
映画「アイ、ロボット」と小説「われはロボット」の内容は全く違うものとなっていますので、SF作品が好きな人には、どちらも目を通してみるといいですよ。
ちなみに、この記事を書いている僕は、現在、国立の研究機関にて、ロボットに関する研究をしています。
こんな僕が解説していきます。
われはロボット(アイザック・アシモフ)のあらすじ
「われはロボット」は下記の9つの短編物語で構成されています。
・序章
・ロビイ Robbie
・堂々めぐり Runaround
・われ思う、ゆえに…… Reason
・野うさぎを追って Catch that Rabbit
・うそつき Liar!
・迷子のロボット Little Lost Robot
・逃避 Escape!
・証拠 Evidence
・災厄のとき The Editable Conflict
1つ1つの短編が完全に独立しているというわけではなく、序章から登場するスーザン・キャルヴィン博士との回顧を通しての物語展開となっています。
タイタニックでいう、老婆になったローズが過去の出来事を思い出しながら、語っている的な感じです。
キャルヴィン博士との回顧によって、ロボットと人類がどのように歩んできたのかがわかる仕組みになっています。
ちなみに、「われはロボット」で初めて提唱された、「ロボット工学の三原則」という原則は、現代のロボット工学界においても、いまだに議論がされているほどのものなんです。
ロボット工学の三原則について詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてみてください。
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では、いくつかの物語のあらすじを簡単にご紹介します。
と、その前に、登場人物を簡単にまとめておきます。
登場人物
スーザン・キャルヴィン博士
ロボット心理学者。
本書は彼女の回顧によるものです。
ローレンス・ロバートスン
USロボット社の創業者
アルフレッド・ラニング
USロボット社研究所所長
グレゴリイ・パウエルとマイケル・ドノヴァン
USロボット社の新型ロボット実地テスト担当員
では、いくつかの物語のあらすじを紹介します。
堂々めぐり Runaround
2015年、第二次水星探検隊が実地調査を行なっていた時の話。
第二次水星探検隊の隊員は、グレゴリイ・パウエルとマイク・ドノヴァンの2名。
そして、スピーディという新しいロボットが一台。
水星では、太陽熱から身を守るために、セレンという特別な物質が必要でした。
そのセレンを採ってこれるのは、スピーディだけです。
実地調査の任務中に、セレンが足らなくなりそうと思ったマイク・ドノヴァンは、スピーディにセレンを採ってくるように命令を出します。
しかし、セレンを採りにいったスピーディは、いっこうに帰ってきません、、、
われ思う、ゆえに…… Reason
第二次水星探検隊の実地調査から半年後、グレゴリイ・パウエルとマイク・ドノヴァンの二人は、太陽エネルギーを中継するためのステーションでの任務に着任。
二人は、ステーションの任務を、全てロボットに置き換えるために、キューティという高性能ロボットを作成。
キューティは、とても優秀な頭脳を持ち合わせていたが、常に自己の存在に好奇心を示すのです。
そしてキューティは、彼ら二人に「あなたがわたしを作ったとは、到底考えられません」と言い、真の主について語り始めるのです、、、
野うさぎを追って Catch that Rabbit
中継ステーションの任務から半年後、グレゴリイ・パウエルとマイク・ドノヴァンの二人は、デイブという新型ロボットの実地テストのために、小惑星での採鉱作業に就きます。
デイブは7台1組として機能する複合ロボットと呼べれるもので、デイブがその6台のサブロボットの指揮をとります。
パウエルが監視する中、デイブらは完璧なほどに採鉱作業をこなします。
しかし、彼らが目を離すと、なぜか鉱石をひとかけらも持ってこないのです、、デイブの仕様書によれば、人間による監視は不必要なはず、、、
彼らは直接デイブに、なぜ鉱石を採ってこないのか、を聞くことに。しかし、デイブは「おぼえていません。一日がおわってみると、マイクがいて、鉱石運搬車があって、車はほとんど空でした」と、、、
うそつき Liar!
2021年、キャルビン博士が38歳の頃、USロボット社はRBモデルと呼ばれるロボットを製作していました。
ハービイと呼ばれる34番目のRBモデル型ロボットの製作が完了したころ、USロボット社の技術主任であったアッシュは、ある奇妙な出来事からハービイの特殊な能力に気がつきます。
ハービイは、人の心を読むことができる、読心力を持ったロボットだったのです。
彼らは、ロボットの組み立て工程のどこが間違っていたのかを明らかにしようとしますが、、、
迷子のロボット Little Lost Robot
2029年、恒星間旅行の研究をしていたハイパー基地で、ねスターと呼ばれる1台のロボットが行方不明になってしまった。
行方不明と言っても、62台の同じ型のロボットに紛れ込んでしまっただけなのですが、1つ重大な問題点が、、
実はネスターには、ロボット工学三原則の第1条が完全には刻み付けられていないのです。
第一条が完全でないロボットは、自分より劣る人間の裏をかくことで、自分の優越性を示すことに偏熱狂的な欲求を持ち始めている様子、、、
逃避 Escape!
スペース=ワープ・エンジン研究の業界トップに立っていたUSロボット社は、同じく業界トップであった合同ロボット社からある取引を持ち込まれます。
両者は電子頭脳を持つロボットのおかげで、業界のトップに立っていたのだが、どうやら合同ロボット社の電子頭脳のブレーンがこわれてしまった様子。
しかも原因は取引内容に含まれるデータを電子頭脳に与えたためだとか。
USロボット社は、データを分割し少しずつブレーンに与えることで、問題点を明らかにしようと試みますが、ブレーンは全てのデータを取り込むことに成功してしまいます。
しかし、少しずつブレーンの言動に奇妙な点が、、、
われはロボット(アイザック・アシモフ)の感想
ロボット小説の金字塔的な存在の「われはロボット」。
ロボット工学の三原則を考え出すこと自体すごいことですが、さらに、そこから生じる問題点を指摘し、解説していく洞察の深さが素晴らしい。
本書では、一見ロボット工学の三原則に反する言動をするロボット達を通し、三原則の不合理さや問題点を指摘されていました。
その中には、ロボットが自己優位性を追求するようになったりと、恐ろしいとも感じる場面も、、、
しかし、個人的には本書全体を通して、ロボットの無垢さや忠実さに愛嬌を感じました。
ロボットの忠実な姿にどこか可愛らしさを感じる。
最後に、本書の序章に出てくる、キャルヴィン博士の言葉を。
人類が、頼る友もなく、広大な宇宙にひとり立ちむかわねばならない時代があった。でもいまは、助けてくれるものがいる。人類より強靭で、忠実で、有能で、全く献身的に仕えてくれるものが。人類はもう孤独ではありません。
早くドラえもん作るぞー
今回はこれで終わりです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。